ベトナム製造業の今【インタビュー】
今回はベトナムで現地法人を立ち上げて3年目になる、OTS DEVICE VIETNAM の社長にベトナムの製造業の状況についてお話を伺いました。
早速ですが工場を稼働させるために不可欠なインフラ状況はどうですか?
ここ数年で急速に改善されてきた部分と、まだまだの部分がありますね、例えば電力事情はかなり改善されてきまして、3年前にベトナムに進出した時には頻繁に停電がありましたが、最近は停電して電気が使えないで困るという事はまずなくなっています。
ただ道路事情はまだま未整備のところも多いですし、全般に交通インフラは整備されていないし時間に対する考え方がやはり日本とは違いますから、物流面での不安はまだ大きいのが現状ですね。
物流関係に不安が残る理由の一つに国内産業を守るという視点から外国資本の物流業者になかなか営業認可を出さないという事もあります。
ですのでベトナムでモノを作って日本に運ぼうとなると、物流面にはかなり不安が残りますね。
ベトナムという国全体の製造業の現状についてお話頂けますか?
そうですね工業製品は外国からの輸入が多いです、家電製品は韓国製の製品が圧倒的なシェアを握っていまして、小売の現場を見ただけでベトナム製の工業製品が少ないのがわかりますから、製造業の競争力はまだまだ圧倒的に低い発展途上なのが現状だと思います。
ベトナムが製造業として発展途上なのには何に原因があると考えますか?
ベトナム人の人件費は上がってきたとは言ってもまだ日本の1/6程度ですから人件費の安さから言えば相当高い競争力があると言えるのですが、2つのネックが有ると思います。
一つは鉱物資源つまり原材料をほぼ外国からの輸入に頼っているのが現状で、これだけなら日本と変わらないのですが、ベトナムの場合輸入品には輸入税として25%、更に日本における消費税のような付加価値税が10%かかりますから、スタートラインにおける製造原価がかなり割高なわけです。
もう一つはベトナムの産業構造そのものが、すそ野が広がったような産業構造になっていないことです。
例えば日本では自動車とかのメーカーの一つに対して何百という企業でピラミッド構造を作っているのが普通ですけど、ベトナムではそんな構造がなくて単発的に工場が有るという感じですね。
ですから層の厚さが望めない状況だと思います。
ところで現地の人の日本人に対する感情とかベトナム人気質はどんな風に感じていますか?
はい、日本人の私にとってありがたい事に親日な人が多いですからとても暮らしやすいです。
3年間で一度だけひったくりに遭った事がありますが、それ以外に怖い思いをしたことは有りませんね。
基本的にベトナムの人は温厚な人が多いですよ、で女性はみんな働き者です。
男性はというと少しのんびりしていますかね。
これからベトナム進出を考えている方にアドバイスするとしたら?
現地にはとても優秀な人もいらっしゃって日本人よりも安い人件費で働いてくれますから、ちゃんと現地の状況を考えて事業を行わないとリスクも日本より高いと思ったほうが良いと思います。
今後TPPの状況次第で人件費の安さを生かせる可能性も高いですから、状況次第でベトナム製造業の可能性もいまよりずっと大きくなると思いますよ。
本日は有難うございました。
OTS DEVICE VIETNAM 代表:鶴岡 宏一氏
インタビュアー:Production Compass 管理人 田中 勝
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