人件費の安い国との間違った競争をしない為に
日本の製造業が元気を失ってから20年が過ぎようとしていますが、その大きな原因は間違った認識や誤解によって生み出されて来たように感じます。
人件費の安い国に勝てないとか日本は高付加価値製品にシフトすべき
冷静に考えれば間違っている事は明らかですが、その理由について書いていきたいと思います。
まず日本の得意分野、お家芸としてロボット技術や自動生産技術がある事に異論はございませんね?
さらに工業製品によって違いはありますが製品の製造原価に占める人件費の割合が大量生産品に限って言えば10%を超えることは非常に稀な話で、原材料費や設備費などが製造原価の大部分を占めているのが現実です。
ですから日本としては製造原価を下げて価格競争に打ち勝っていくためには、製造ラインの自動化技術を高めてコスト削減を目指すべき、つまり人件費を下げる事ではなく自動化によって人件費の割合を下げてコストダウンを目指すべきだったのです。
それを間違って人件費の安い東南アジア各国に生産ラインを移すなんて事を本気で推し進めてしまったから、日本国内の生産技術が海外に出ていってしまったという結果です。
高付加価値の分野について
日本には優秀な人材が揃っていますから設計分野ですとか試作品の製造など人件費の占める割合が高い分野に特化してといった考え方がありますが、果たしてそれは正しいのでしょうか?
製造現場を海外に移転させてしまうという事は一緒に技術も移転させるということですし、人件費が占める割合の高い製造分野というのは、人件費が安い国の技術力が高くなってしまったら、そこは自動化してロボットに任せることが出来ないのですから、非常に競争力として厳しい状態になる事は容易に推測できます。
今川義元の失敗に学ぶ
織田信長に討ち取られた今川義元ですが、織田家というのは今川家の属国で有ったため戦になれば今川家は出ていくこと無く代わりに織田家が駆り出されていた訳ですが、結果はどうなったかというと織田信長及びその一団は戦上手に成長したわけです。(日本の製造業の重大問題にもう少し詳しく書いています。)
量子コンピューターとAI(人工知能)が設計、製造現場を変える日
囲碁将棋の世界で人が人工知能に勝てない時代がついに来てしまいましたが、設計構想に人工知能が活用される時代は既に始まっていますね。
そこで間違った選択をしてしまいますと日本の製造業の復活は非常に難しくなると思います。
先を見据えた投資と人材の育成を疎かにして目先の利益を追求して自滅は避けなくてはいけないですね。
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