TPPのほうはアメリカのトーンダウンによって、元々不透明だった先行きがより混沌としてきた感じが致しますが、今回のコラムでは日本(市場)の守りについて考えてみたいと思います。

まず日本市場を海外企業の進出から守ってきた2つの要素があります。

ひとつは地理的な条件でまるで周りを掘りに囲まれているかのような周辺を海に囲まれていて容易にモノを運び込めないという、天然の堀の存在があります。

もうひとつが日本語なんですね。

日本では中学校で3年間、高校で3年間、最近では小学校から英語教育を取り込もうとしているのですが、不自由なく英語を使いこなせる日本人は非常にまれな存在なわけです。

ですから商品や製品を日本に売り込むには、契約書から始まってパンフレットに説明書に販売した後のサポートに至るまで、日本語対応していないと継続的に日本市場で売上を確保する事が難しいですよね?

もちろん高い技術力ですとかきめ細かいサポート体制ですとか誠実な顧客対応によって日本市場は他国に比べて海外から守ってきたという側面も大きいのですが、上記に2つの存在がとても大きかったわけです。

海に囲まれた堀と日本語という壁と表現できると思います。

日本政府が壁を壊そうとしている?

TPPの推進が最たるものだと思いますが、今わかっている情報からの話ですがTPPの基本理念としてあらゆる商取引における障壁取り除いて、自由で公平な競争原理で商売が出来るようにするという項目があります。

そうすると下手すると日本語じたいが障壁として訴えられる可能性も非常に高いと思われています。

まぁ少なくとも契約書や入札の類を日本語表記のみというのは、外国企業の障壁になっていると思われて改善を求めてくるでしょう・・・ではなく既にTPPとは関係なく動きが出ていると思います。

年次改革要望書

この文章の存在はマスコミで全くと取り上げない代物ですが、数年前までアメリカ側が自由な商売の障壁として考える項目をまとめて、要望書の形で毎年要求されてきた文章です。(数年前に廃止されたという事になっています)

要望の具体的な内容についてはネットでお調べ頂けるとありがたいのですが、小泉政権化に推進された規制緩和なんてものは、その前にアメリカから出されている年次改革要望書の内容を忠実に実行したに過ぎないとしか思えないのです。

話を元に戻します。

産業政策イコール攻めの姿勢ばかりが取り上げられますし、守りの姿勢というのは消極的で排他的のようなマイナスでネガティブなイメージが非常に強いのですが本当にそうでしょうか?

はっきり言ってアメリカにしてもEU(ヨーロッパ)にしても外に対しては障壁を取り除けと、事あるたびに言ってくるのに、自国の国内産業は手厚く保護しているのがじつじょうなんですよね?

ですから日本国家のあり方として、攻めの戦略と同等に守りも考えなくてはいけないと思うのです。

絶対生存権(生存圏)的な考え方

昔、学校で習った昔の話で恐縮ですが【絶対生存権(生存圏)】という考え方が欧米諸国には有って日本には希薄なのかもしれません。

絶対生存権(生存圏)とか食料から工業製品に至るまで、国民が生きていくために必要なモノ(物資)は全て自国内で確保できるようにしておくという、国家安全的な考え方です。

この考え方を根本的に持っていませんと、産業経済の分野において日本を守る事を再優先にするという発想が希薄になってしまうのではないでしょうか?

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