ある程度会社が大きくなってくると、自社の工場のみで板金加工を行うには生産量や受注量に限界が来てしまいます。お客様が満足し、高品質で納期を間に合わせる製品製造のために、協力会社を募集するという手があります。お客様から依頼を受け、実際の製造は協力会社に依頼をして作ってもらうという形を取ります。いわゆる仲介会社のようなものといえるでしょう。
今回は板金加工と協力会社募集について解説します。

板金加工の協力会社を募集する企業

多くの板金加工の協力会社を募集する企業は、お客様が満足できる品質を提供し信頼を獲得するために、全国の機械加工・板金加工など金属加工を得意とする、安定した高品質、納期対応力、コスト競争力のある協力会社を募集しています。

何故協力会社を募集するのか、それはお客様から受注した板金加工、金属・切削加工の案件を、募集した協力会社に発注する受発注の仕組みをとっているからです。

お客様から依頼を受けたら、材料をそろえ、協力会社に製造を依頼して実際に作ってもらい、それを納品します。板金加工の協力会社を募集する会社は仲介役であり、協力会社は下請け役のようなものといえるでしょう。

仲介会社が求められる理由

仲介会社が求められる理由は以下の通りです。

・パーツごとに別々の会社に依頼しているものを1社にまとめたい
・これまでにない新しい部品、難しい部品が作れる会社を探している
・コストダウンについて、素材や加工技術を熟知した提案がほしい
・試作・少量・難加工・組立・VA(Value Analysis)提案など製造のエキスパートがほしい

仲介会社は、様々な業種の企業との連携による、素材から製品まで一括受注管理が可能な企業構築を元に、受注活動を行っています。そのため、信頼ある協力会社の技術と情報を駆使して、素材から部品・製品まで、ものづくりのお手伝いを行うことができます。

取引のあるお客様の業界

取引のあるお客様の業界は様々ですが、一例として以下を挙げます。

・半導体装置
・印刷機械
・包装機械
・食品機械
・FA(Factory automation)装置など

仲介会社の受注から納品までの流れ

仲介会社の受注から納品までの流れは以下の通りです。

①お客様から制作依頼を受ける
②材料メーカーに材料を発注
③協力会社に確定発注する
④協力会社から納品される
⑤お客様へ納品

募集内容

募集内容は会社によって異なりますが一例として以下の例をあげます。

・板金加工
・製缶加工
・旋盤加工
・フライス加工
・マシニング加工
・板金プレス加工
・機械加工
・建築金物
・溶接、研削
・板金塗装、メッキ
・熱処理、焼入れ
・シルク印刷
・歯切り加工
・刻印
・その他機械加工など

製缶加工

製缶加工とは、鉄材を曲げ・切断・溶接等を施して、タンクや機械装置など立体的な製品を作り上げることです。切断の際には、フレームやパイプなどのような鋼材や鋼管・形鋼などを組み合わせて加工を行います。

旋盤加工

旋盤加工は切削加工の一種で、工作物を回転させて刃物台に取り付けられた切削工具を当てて加工することです。
旋盤加工は工作物を回転させて切削するため、主に丸棒を材料として加工する時に用いられる方法でもあります。旋盤加工で作られるものは、その形状から「丸物」とも呼ばれています。

フライス加工

フライス加工とは、フライスと呼ばれる円筒形で複数の刃が付いた切削工具を回転させて切削する金属加工方法をいいます。フライス盤は主に工業製品の部品を作る機械でもあるため「マザーマシン」とも呼ばれるほど、私たちの生活になくてはならないものでもあります。

マシニング加工

マシニング加工とは、1台でフライス、穴あけ、中グリ、ネジたてなど色々な種類の加工を連続で行う事が出来るNC(Numerical Control)工作機械を使った加工方法です。1958年にアメリカで誕生したマシニングセンタの出現でリードタイムの短縮とコスト削減に大きな変化をもたらしました。

建築金物

建築金物とは、建築に使用される金属部材の中で、建物の構造材を接合するかすがいなどの継手金物や、窓や開口部に用いる蝶番や把手などの建具金物、階段の滑り止め用具や雨樋の受け金具、壁下地に使用するラス類などを総称する言葉です。
構造材に使われる鉄材や屋根などに用いる被覆材、配管設備などに用いる鉄材などは含まれません。

溶接、研削

溶接とは、金属を溶かしてから再度固めることによって、金属同士を接合する加工方法のことです。
溶接には母材となる金属を直接溶かして接合する方法と、母材とは別に用意した金属を溶かしてつなげる方法があります。

研削とは機械的加工の1つで、高速で回転する砥石によって工作物の表面を加工する除去加工方法のことです。研削加工で工具となる砥石は、砥粒という小さな硬質粒子によって構成されており、この砥粒が細かな歯の役割をして、工作物の表面を少しずつ削り取っていきます。

板金塗装、メッキ

板金塗装とは、主にダメージを受けた自動車の外装パーツである鋼板を、板金作業と塗装作業の工程を経ることにより、修理・再生する作業のことです。

メッキとは、金属などの材料の表面に、防錆や美粧、保護のために金属の薄膜を被覆することです。

熱処理、焼入れ

熱処理とは、金属の材料を「加熱」と「冷却」を加えながら、形が変形しないように性質の向上を行う加工のことであり、切断や塑性加工と同様に金属を加工する種類のひとつとして分けられています。

焼入れとは、鋼を変態点(組織の構造が変化するポイント)以上の温度まで上昇させ、一定時間置いた後、急激に冷却することです。鋼を硬くすることが目的であり、硬化の程度は鋼に含まれる炭素量で決まります。

シルク印刷

シルク印刷とは、シルクスクリーン印刷とも呼ばれ、インクをナイロンやポリエステルなどの樹脂で作った「スクリーン」と呼ばれる、穴を開けた版板に擦り付けて文字や絵を印刷する方法です。身の回りでは非常に多くの製品に使用されており、金属製品ではネームプレートや筐体のパネル部分などに施されています。

歯切り加工

歯切り加工とは、ホブカッタ、ピニオンカッタ、ラックカッタと呼ばれる歯切り盤を使って歯車の歯を切りだすことです。

刻印

刻印とは、刻印工具を用いて対象のワークにプレス機や刻印機などで加圧し、凹凸形状を転写することでマーキングする手法です。製品へ凹凸形状をダイレクトマーキングするため、摩耗などの影響も少なく半永久的なマーキングが可能であり、刻印が可能な材質は金属・プラスチック・木材等と、幅広く利用されています。

協力会社に求めること

協力会社に求めることは様々ですが、特に多いのが以下の通りになります。

・小ロット、短納期対応可能な企業
・高精度かつ品質保証体制の確立している企業
・見積り回答(最短納期回答含む)のレスポンスが早い企業

仲介会社に任せるメリット

仲介会社に任せるメリットは以下の通りです。

・技術と経験と情報を1つの窓口に集約して対応可能
・協力会社との連携により、ノウハウを最大限に生かしたメリットある提案ができる
・異業種技術や特殊技術を複合させ、難しい相談にもワンストップで対応
・協力会社のネットワークを駆使し、メリットある生産を提案
・多品種・他業種の部品・製品を一社に発注できる確率が高く、管理が容易になる

仲介会社に任せれば、デリバリーにおける時間と管理が削減されるため、納期が短縮します。また、各工程の流通が短縮されるため、トータルコストも下がります。更に多種多様な協力会社と連携しているため、既存の外注先ではできなかった試作や製品を作れる可能性が高くなり、新しい情報が手に入ります。

社内で主に加工している板金加工以外でも外部の協力会社の力を借りながら「機械加工品」「丸棒加工品」「パイプ加工品」など+αの加工も取りまとめることができます。一括で手配が可能になるため発注手配が少なく済み、管理の手間を減らすことができます。

協力会社側のメリット

協力会社側のメリットは以下の通りになります。

・中長期的な安定発注
・相見積りは原則行わず、指値で依頼するため、協力工場における見積り負担を最小限に減らすことができる
・材質、板厚、加工法などから各協力会社に提案会社が最適な案件を抽出し依頼するので、得意な分野のみ受注できる

相見積もりの業務負荷の大きさは、多くの加工会社に共通する問題です。各社からの相見積もりは毎日のように来て、多い時は100点以上になることもありえます。そのため、仕事の半分以上は相見積もり作成に費やされてしまいます。それだけ工数をかけても成約率は10%以下なので非常に非効率です。
しかし、仲介会社を利用すればその負荷を下げることができます。
見積もりの負荷が下がれば、生産管理や品質管理、原価管理をもっと掘り下げることができるため、大きくなりつつある会社の体制を整えることができるでしょう。

利用の流れ

仲介会社の利用の流れは以下の通りです。

①募集に提案してくれた会社に対し見積もり依頼(協力会社の加工可能な材質や加工法に合致する案件について見積もり依頼を行う)
②受注確定(案件の価格・納期やその他の条件が合致した際に発注の確定を協力会社に伝える)
③製造・検品・納品(協力会社が依頼内容に基づき製造・納品を行い、協力会社と募集する会社での検品が完了次第、完全納品)
④支払い

協力会社を品質・納期・価格・得意な加工・キャパシティ・経営方針などをもとに審査した上で、見積もり依頼を出します。

まとめ

板金加工と協力会社募集について解説してきました。以下、まとめになります。

・板金加工の協力会社募集は、全国の機械加工・板金加工など金属加工を得意とする、安定した高品質、納期対応力、コスト競争力のある会社が募集対象
・協力会社を募集する企業は、実際の製品加工は協力会社で行い、それを納品することで利益をあげている
・材質、板厚、加工法などから各協力会社に提案会社が最適な案件を抽出し依頼するので、協力会社は得意な分野のみ受注できる

板金加工で協力会社を募集するということは、お互いとてもメリットがあります。
協力会社を募集する企業は、契約している協力会社の技術や加工方法から最適なものを選ぶことでお客様からの受注をたくさん受けることができ、協力会社はたくさん受注製品を作成することで中長的な発注とお金を得ることができるので、お互いwin-winな関係といえるでしょう。