他社からの依頼を受けて試作品の開発を行うことを主な業務としている会社の場合、顧客開拓の営業が難しい所が有ると聞きます。

まず過去の実績関係や自社の技術を広く世の中に宣伝できる部分と依頼元との守秘義務契約が関係してインターネットの自社ホームページに掲載する事はもってのほかみたいな場合が多いわけです。

特に守秘義務を厳密にしなくてはいけないような高度技術を要する開発案件を主力の開発にすればするほど、わが社の開発実績はこんな製品ですと広告するわけにはいかないのです。

もちろん発注元とすれば高い外注費を支払って製作機械ですとか省力化システムを構築したわけですから、それを外注先が勝手に他社に横流しする形で販売されたら困りますから厳格な守秘義務契を結んで、外部に技術が漏れないように非常に気を使っているわけです。

しかし試作開発をメインの仕事にしている会社にとっては、過去の技術を元に営業的に水平展開したいところですけど、どこそこの会社でこんな自動化や省力化機械を開発してこれだけコストダウン出来ましたと宣伝できないわけです。

そして困るのが同じ会社から継続的に開発案件が入ってくれば良いのですが、たまにしか入ってこない状態で、まずグループ企業以外の紹介など期待できません、というかまず水平展開できる同業者を紹介してもらえませんから、本当に営業的に苦労している場合が少なくないのです。

実は私自身がそんな風な受託開発型企業のホームページ作成を何度か請け負って製作した経験が有りますが、大ざっぱな業種と自動化装置を作成しましたと文字で書けるレベルで、製品の写真も図面もCADのテクスチャ画面も何もホームページに掲載できないので、単にイメージ写真しか掲載できなかった記憶が残っています。

まぁ新規の取引依頼が入ってきて対面での面談の形で商談に至った場合は、口頭レベルでとかその場で見せる形で実績を提示できる場合もありますが、これもあまりやり過ぎてしまいますと、守秘義務契約を交わしても外に漏らされてしまうのではと思われてしまいますので、難しい所なのですね。

技術の流出と系列崩壊の弊害

系列という言葉が死語になったとは言いませんが日産の社長が青い目の外国人になったあたりから、系列=コストダウンの敵で系列など関係なく部品を調達したり発注をするという事が正しい事のような風潮が出来てしまったのは、個人的に問題ではないかと思っています。

系列がしっかりしていた時代でしたら、良し悪しは別として親に当たるメーカーが系列内の技術を吸い上げてグループ内で、共有するようなシステムが明文化されてはいませんが機能していました。

系列を崩壊させてある意味では無秩序状態にしてしまったという事は、守られた中での技術の水平展開が出来なくなってしまった側面が有るのではないでしょうか?

世界進出のイメージ

親会社が系列を無視して築いてきた信頼関係を壊してしまったのですから、技術を持っている下請け企業の技術が海外に出て行ってしまうという事も有ったのではないでしょうか?

うちは元々系列なんて関係なく仕事をしてきたんだよ

とおっしゃった貴方少しへ追伸させて頂きますと、系列の崩壊と同時に進行したことは、製造工場の海外流出なのですよ。

量産になると中国で生産するというのが今では当たり前の話になってしまいましたが、系列の破壊にしても生産現場の海外流出で技術まで海外にという流れも、根っこは一緒で目先の極めて短期的な利益(株式配当と表現した方が正解だと思います)求めた結果だと思います。

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