ニッチすなわち狭いポジショニング
かれこれこの業界で25年以上飯を食っているのですが、社内の雰囲気がのんびりしていて、それでいて業績が良くて社員の定着率が高い会社というのはニッチな事をやっていて、ポジショニングもそれだけに特化しているので狭く決めたポジション以外の外に出てないという感じの企業が非常に多いです。
逆に成長産業と言われる企業の多くは業界自体が成長して規模が大きくなっていますが、新規参入業者が多くてライバル企業と凌ぎを削る毎日だったり、変化が激しくついていくのに四苦八苦だったり絶えず人手不足状態で人材確保に苦労していたりというイメージがあります。
そもそも今まさに成長し始めた産業分野なんてものは、誰でも知っている事で普通に世の中に話が出ている頃、つまりワールドビジネスサテライトで放送をされたり、日経新聞に出た時点で単純に全体の規模が大きくなっているだけで、今から参入して誰でも食える産業ではなくなっているという事です。
さて話を今の日本の製造業関係に持って行きますと西暦2000年に入ってから人件費の安い中国などの台頭によって小さな工場と言われる金属加工などの加工業者が半減してしまいました。
つまり一般的には斜陽産業ですから新規参入業者もないわけで、徐々にニッチな分野に歩んで行っているとも言えますね。
ですから今現在、営業をしている加工業者さんは多品種少量生産というニッチな市場で生き残っているわけです。
ニッチになって産業として生き残っていくのか、完全に無くなってしまう業界なのかを見極める目を持つ必要が有りますが、結構なくなると思われてしっかり残っているモノや産業も多いじゃないですか?
例えばソロバンという古典的な計算機があります。
さすがに計算尺や手回し式のタイガー計算機は消えてしまいましたが、ソロバン塾もちゃんと残っていますし一定の市場が安定してありますから、量子コンピュータが一般的になったとしてもソロバンは存在し続けて、それを作る製造工場も必要なわけです。
それから鉛筆というものもありますね。
こちらは100円ショップで売っている安物は除いて、ちゃんと文房具店で販売している鉛筆は今でもメイドインジャパンが刻印された日本製が主力です。
こちらだって、どんなにシャープペンシルが発達して、鉛筆を削るのが面倒だと思ってもちゃんとニッチな業界になりつつも生き残っていくわけです。
つまり成長産業でも斜陽産業でもニッチでもポピュラーでも企業運営としての厳しさは同じかもしくは一定期間の成熟期を置いた斜陽産業のほうが楽な場合も少なくないと思うのです。
そんなわけで今自分が働いている業界が最高に良い業界になりつつあると、特に自分の業界が斜陽産業だと感じている方は思ったほうが良いのではないでしょうか?
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