かつての松下電器産業がマネシタデンキと揶揄されて他社がヒット商品を出すやいなや、その製造力で短期間にもっと良いものを作り上げて、日本全国に張り巡らせて販売網(ナショナル店会)の販売網をもってして、直ぐに市場シェアを奪ってしまったという時期がありました。

最近では同じことを中国メーカーにやられてしまっているわけですが、その事は別の機会に書こうと思います。

先行者利益が取りにくい時代になった?

とはあまり思いたくないのですが、製造能力が高い企業が多いですから二番手商法をやりやすくなったという背景も有って、先行者として市場を独占できる期間が非常に短くなったと思います。

その理由は次のような事が考えられます。

本来は追随する企業が出てくる事で更なる需要の喚起ですとか、製品レベルの向上などで市場のパイが大きくなって当面は成長を続けるというパターンが多かったのですけど、最近は少しでも売れそうだという事になれば、安価な二番手商法製品が直ぐに出てくるというパターンで、市場が育たないわけです。

つまり高度成長時代のマネシタデンキ式二番手商法は、同じ製品を作って世に送り出す事は一緒でも、先行者よりもより高品質で高付加価値の製品を投入していましたから、先行企業との公正な競争も行われましたし、安易に価格競争に走るような真似もしなかったので、先行者も一定期間の先行者利益を確保できて、投資を回収できたわけです。

と書いてしまいますと先行者利益が取りにくい時代になったので、イノベーションを諦めるという結論になってしまいますから、もう少しだけお付き合いください。

斜陽産業ほど先行者利益が取りやすい時代になった。

一般的に二番手商法に長けている企業というのは成長産業と目される分野で力を発揮しますが、一般に斜陽産業と思われている分野には出てこないのです。

ですから一部に製造業は斜陽産業だと思われている(と言いますか実際に中小の製造業がどんどん消えているのが現状では有りますが)分野においてこそ、先行者利益を取りやすいわけです。

なにせ成長分野だと思われると、ヒト・モノ・カネの自由化と言いますか流動化されている時代ですから、あっという間にプレイヤーが沢山進出してきて、直ぐに価格競争に持っていかれてしまうのですから、世の中が成長産業だと言い出した頃にはもう既に乱売時代に入ってしまっていると言っても良いと思います。

ですから斜陽産業と思われている業界で昔から生き残っている企業というのは、むしろオトクなのです。

例えば誰に聞いても斜陽産業だと言われている出版業界というのが有りますが、Amazonは成功しましたよね?

その成功のポイントの一つが斜陽産業に進出したという事では無いでしょうか?

だから追随者が出てきたのはずっと後になってAmazonが大成功を収めて今から追いかけても追いつかない状態になってからだったので、一人勝ち状態を続けていられるのです。

成長産業に目をやるよりも、自分が今いる業界に目を向けたほうが宝の山が転がっている可能性は高いと思うのです。

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